先月、釧網本線で観光列車を試験的に走らせる試みが行われました。

その時にインタビューを受けました釧路新聞が私の記事を書いてくれましたのでご紹介させていただきます。

 

 

茅沼駅のMYドーリンの前で撮られた写真が使われていますが、こんな風な立派な記事にしていただけるのでしたら、もっとちゃんとした衣装で撮ってもらえばよかった気がします。

 

それはさておき、なぜ、釧路と網走を結ぶ釧網本線がJRが考えると「要らない路線」の仲間入りをするかといえば、これは、自分たちの商売を純粋に都市間輸送と考えているからでありまして、「インターシティ」つまり都市と都市とを結ぶ輸送需要という考え方がもとになっています。皆さん、「ハブ&スポーク・システム」って聞いたことがありますか?

これは1980年代以降の都市間輸送の基本をなす考え方で、航空会社でよく使われる手法なのですが、たとえば航空路線図で言えば、日本は東京を中心(ハブ)にして放射(スポーク)状に航空路線が発達しています。

具体例として説明すると、鹿児島の人が富山へ行こうと思ったら、どういうルートが考えられるでしょうか?

鹿児島から大阪まで飛行機で来ても、大阪から富山へは飛行機が飛んでいませんから、当然、鹿児島ー東京ー富山というルートになります。

鹿児島の人は何の用事もないのに、一旦東京を経由して富山へ行くことになるというのが、ハブ&スポーク・システムの特徴で、たとえ遠回りをしても、その方が速いという仕組みになっているからです。

私は富山県に対して東京ー富山の航空路線を新幹線ができたからと言って廃止にしてはいけませんよと助言しているのは、これが理由で、航空路線網を考えた場合、東京を中心とした「ハブ&スポーク・システム」の路線網から欠落してしまうからで、そうなると目に見えない大きな損失が起きるのですが、富山の人たちはなかなかそういうことに気づかないのです。

つまり、都市間連絡という考え方をすれば、極端な話、北海道の釧路の人が函館へ行こうと考えた場合でも、当然、釧路ー東京ー函館と飛ぶ方が速いという逆転現象がおきることもあるのです。

 

同じ考えを北海道のJR路線に適用すると、JR北海道は札幌を拠点として、函館、室蘭、小樽、旭川、稚内、北見、網走、帯広、釧路と放射状に伸びた「ハブ&スポーク・システム」で成り立っているからで、その区間をシャトルするフリークェントサービスを行なうことが輸送の使命であると考えているからです。そして、その点から言えば、釧網本線はスポークの先端と先端を結ぶ路線ですから、輸送システムの中では「要らない路線」ということになるわけです。

 

でも、我々は鉄道の使命というのは「輸送」だけではないと考えていますから、例えば「観光」を考えた場合に、観光客は同じところを行ったり来たりするだけではなくて、周遊、回遊を好みますから、スポークの先端と先端を結べば、札幌を中心として、ぐるっと周遊、回遊ルートが出来上がるわけですし、そうすればスポークの先端までお客様は乗ってくれますから商売になる。つまり、釧網本線は「必要な路線」ということになるのです。

 

さて、その釧網本線の観光列車の中で私が提案しているのは「回転を上げる」ということでありまして、つまり、区間を2つに区切って、片道あたりお客様を2組乗せて入れ替えることができるのですが、これは両端をスポークの先端に接続しているという釧網本線が持つルート的優位性です。そこで観光列車という商品の具体的な組み立て方ですが、「釧路湿原コース」と「オホーツク海コース」という2つのコースを作りまして、お客様を途中で入れ替えるのです。そうすると、釧路から網走を1往復すると4組のお客様にご乗車いただくことになりますから、片道全区間ご乗車いただくよりも、お客様の回転がよくなります。釧網本線は全区間約3時間の運転ですが、観光列車であれば途中で停まりながらゆっくりと4時間で走るとしましょう。その4時間を通して乗車するというのは、鉄道マニアならともかく、一般の観光客では辛いものがあるでしょう。だから、釧路ー川湯温泉(2時間)、川湯温泉ー網走(2時間)というようなコースを組んで、1往復で4組のお客様にご乗車いただく方式です。

私は、釧網本線の釧路ー網走間は観光鉄道としてそれなりの列車を走らせれば、片道3万円の商品になると考えています。JRがいろいろな規則や法律の中で列車を走らせている今のやり方では、片道3千円程度にしかなりませんが、このコースであれば3万円になります。でも、3万円のお客様というのは、なかなか限られたマーケットになりますから、2つに分けて、各区間18000円ぐらいにすれば、1人3万円のお客様を見つけるよりも、はるかに満席になる可能性が高くなりますから、営業効率も上がります。

また、片道1人のお客様では、例えば駅弁は1個しか売れませんし、お土産も1回しか買いません。それが片道2人になれば、駅弁も2個売れるし、お土産も2回買いますから、売り上げも上がるのです。

ということは、それだけ地元に入るお金も大きいものになりますし、地元の人たちもやりがいがある列車ということになるでしょうね。

 

「これから観光列車をやって行きましょう。」というような意見が集まってくると、企画する側もできるだけ立派な車両を作って、北海道全体をまわるクルーズトレインのようなことをやりたいと考えると思います。

でも、営業的に見ればそれは間違いで、1人のお客様を長く引き留めてはいけないのです。なぜなら、できるだけ長時間、長距離を乗っていただくよりも、回転を上げることが売り上げUPの基本だからで、売り上げが上がらなければ、地元の人たちは潤いませんし、やっていても楽しくないからです。

 

では、なぜ私がこんなことを考えるかというと、それは私が長距離と短距離の両方の航空会社に勤務していた経験があるからです。皆さん、これから航空会社を始めるとしたら、東京からロンドンやニューヨークへ行く航空会社と、東京からソウルや台北へ行く航空会社のどちらを始めますか?

技術的なことを考えずに「やってみたいなあ」という憧れだけで言うと、誰だってロンドンやニューヨークへ行く長距離航空会社の方が良いでしょう。運賃だって高額になりますから、客単価も上がりそうだし、儲かりそうですよね。でも、客回転、飛行機の回転を考えると、長距離の航空会社はそんなに儲かるものではなくて、例えば機内販売の免税品なども、長距離であろうが短距離であろうが、お客様は1度しか買いませんからね。東京からロンドンやニューヨークへは12時間以上かかります。その同じ12時間あれば、東京ーソウル2往復できますから、お客様は4組入れ替わります。免税品も4回買ってもらえますし、何しろ、ロンドンへ行くお客様よりもソウルや台北へ行くお客様の方がはるかに見つけやすいですから、商売としてのうまみがそれだけ多くあるということです。

 

北海道の関係者の皆様方に申しあげますが、ゆめゆめ、クルーズトレインで全道一周のためのコースや列車を考えてはダメですよ。観光列車はシャトルです。それも、特急列車やバスとつないで、お客様を入れ替えること。そうすれば回転が上がりますから落ちるお金も大きくなるということです。そして、どうしてもクルーズトレインをやりたいのであれば、釧路に常駐させている観光車両を整備のために札幌へ送る時などに旅客扱いをすれば、めったに乗れないというプレミアム感が増しますから、集客はしやすくなると思います。

 

私が考える釧網本線観光列車コース

 

1:釧路 9:00ーー釧路湿原ーー標茶ーー川湯温泉 10:50着

2:川湯温泉 11:10発ーー知床斜里ーー浜小清水ーー北浜ーー網走 13:00着

3:網走 13:20発ーー北浜ーー浜小清水ーー知床斜里ーー川湯温泉 15:10着

4:川湯温泉 15:20発ーー標茶ーー釧路湿原ーー釧路 17:10着

 

季節によって時間を多少変更し、最後は釧路湿原に沈む夕日を見ながら軽く一杯飲めるおしゃれな列車にすれば、第4コースまできちんとお客様は埋まりますよ。

 

いかがでしょうか。

 

ということが新聞のインタビューに書かれていることなのでございます。

 

釧網本線、LOVEです。

元記事へのリンク

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投稿者プロフィール

いすみ鉄道のようなローカル線は、鉄道会社といっても零細企業です。こういう小さな会社は、社長が何を考え、どういうポリシ―や方向性で進んでいるのかを皆さまに直接お伝えし、ご理解いただくことが大切だと考えています。このブログでは、地元の情報やイベントなども併せて、「いすみ鉄道の今日」をお伝えいたします。どうぞお付き合いくださいますようお願い申し上げます。

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