小雪(二十四節気)水泉動(七十二候)1月10日~14日 「古地図を読み解く」開催中 茅屋根葺替え

 七十二候は、「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」です。漢字だけではわかりにくいですが、この読みならばなんとなくわかる感じです。地中で凍った泉の水が溶けて動き出す頃、だそうです。しかし、毎日寒い日が続き、これからが冬本番のような気がしますが。「水車」は凍り付かず回っており(写真:上)、小屋の中ではその回転運動を上下運動に変えて”杵”が”臼”を突いています(写真:下)。
   例年より遅いようですが、少しづつ”冬の花”が咲き始めています。「上総の農家」の「ソシンロウバイ」(写真:上)「スイセン」(写真:下左)「コセリバオウレン」(写真:下中)と「風土記の丘資料館」近くの「ロウバイ」の状況です。
 「農家」では、秋に畑から”根っこごと”抜いて乾燥させていた「大豆」(写真:上左の中央)の脱穀作業です。 ”豆のさや(鞘)”は、夏に「枝豆」を食べた時には”緑色のやわらかいさや”でしたが、成熟して”カラカラ”に乾燥した後は”茶色でとても固いさや”になっています。「上総の農家」(写真:上左)「下総の農家」(写真:上右)では、”杵”や”棒”で”固いさや”を割って”豆”を取り出していますが(写真:上)(「クルリ棒」と呼ばれる、”叩く”だけではなく”回転力”を利用した道具なども使います)、これだと”豆”が飛び散り”豆”を一粒一粒づつ集めるのが大変です。そこで登場するのが、脱穀した「米」からゴミを取る際にも使用した「唐箕(とうみ)」です。大きな枝や殻(さや)などを取って、送風している「唐箕」に投入します(写真:中左)。すると、軽い”ゴミ”は珠面から飛ばされ、重い”ゴミ”は左側に落ち、”豆”が右側から出てきます(写真:中右)。さらに、”豆”を選別して粒を揃えます(写真:下左)。「笊(ざる)」には、「大豆」がきれいに揃いました。来年も、おいしい「枝豆」を楽しみにしています。おっと、その前に「節分」の「豆まき」がありますね。
 「上総の農家」では、縄をなっていました。「縄」は、いろいろな使い道があります。「わら」は、やわらかく、加工がしやすく、「稲」の収穫でまとまって量が確保できたので、”米をとったあとの稲わら”を捨てないで”再資源化”して「衣食住」などあらゆることに利用してきました。「衣」では「蓑(みの)」「草履(ぞうり)」、「食」では「米俵」「鍋敷き」、「住」では「屋根材」や「壁の補強材」などにも使われました。現代社会に求められる「エコ」の実践ですね。
 「下総の農家」では「むしろ織り」の実演です。「わら(藁)」を使った「むしろ織り」は、江戸時代になると「むしろ編機」が作られ、農家の副業として発達しました。まず、「むしろ編機」に”経紐”になる”細縄”をセットし、”わら”を5本くらいづつを左右から交互に入れ(写真:上)、その都度”細縄”が通された”可動式の重い棒”で、”わら”を押さえながら織り込んでいきます(写真:下)。「機織り」の「おさ(筬)」ですね。
 「古地図を読み解く」① 「風土記の丘資料館」第3展示室では、トピックス展古地図を読み解く-千葉の陸運・水運-」を開催中です。江戸時代、”北総地方”は「江戸」に近く、「成田詣」「三社詣」などで気軽に訪れることができる観光地となりました。「江戸時代の観光と街道」「古地図に見る千葉」のコーナーでは、”古地図”に描かれた交通路などを紹介するとともに、観光ブック的な「利根川図志」や「成田詣にみる陸運」「鉄道と成田周辺の変化」なども紹介しています(写真:上)。展示室の奥の3枚の絵(図)は、「利根川図志」に描かれた「海獺(あしか)の図」「海獺島を望遠鏡で見たる図」「ツクマヒ図」です(写真:下)。

 「古地図を読み解く」② こちらは、「三社詣にみる水運」のコーナーです。徳川家康の「利根川の東遷」により、「利根川」と「江戸川」を利用することで、遭難する危険の多かった”房州沖”を航海しなくても”太平洋”から”江戸”に船で行くことができるようになりました。その結果、「利根水運」を利用して多くの荷物が江戸に運ばれ、流域には「佐原河岸」「木下河岸」などの「河岸」も発達しました。また、同時に「三社詣」に、「陸運」だけではなく「利根水運」を利用する江戸庶民もいました。

 「古地図を読み解く」③ 「房総のむら」では、平成7年から県内の”昔の建物や町並み”が残る地域を見学する「町並み探検隊」を実施してきました。当然、”北総”に位置する「房総のむら」ですので、”佐倉””成田””佐原”などの”北総”地域が多いわけですが、”野田””我孫子””浦安””木下”など「利根水運」に関連した”町並み”も見てきました。平成27年には「北総四都市江戸紀行」が「日本遺産」に認定されましたが、まさに今回展示の”陸運・水運”による”物流””江戸文化の伝播””庶民の小旅行”などがその原点です。

 日本遺産 北総四都市江戸紀行」とは、北総地域は、百万都市江戸に隣接し、関東平野と豊かな漁場の太平洋を背景に、利根川東遷により発達した水運と江戸に続く街道を利用して江戸に東国の物産を供給し、江戸のくらしや経済を支えた。江戸からは庶民も観光旅行に訪れ、江戸文化を取り入れた独自の町が発展した。特に、城下町の佐倉、成田山の門前町成田、利根水運の河岸、香取神宮の参道の起点の佐原、漁港・港町、そして磯巡りの観光客で賑わった銚子の北総地域の四市は、東京近郊にありながら、江戸庶民も訪れた4種の町並みや風景が今も残り、江戸情緒を体感することができる。成田空港からも近いこれらの都市は、世界から一番近い「江戸」といえる。』というものです。ということは、「房総のむら」は、世界から一番近い「江戸」を感じることができる博物館ということになります。(写真:「成田 香取 鹿島 息栖 細見絵図」に江戸から銚子までの街道を赤色で加筆)

 「安房の農家」の”茅葺屋根”の”葺き替え”工事も進んできました。”茅葺”といっても”茅”という植物はなく、「ススキ」「チガヤ」「ヨシ」などの屋根を葺く”草”の総称です。今回の”葺き替え”は、「主屋」の正面と右側(南・東面)の表層の”茅”の交換と、裏面と左側(北・西面)(写真:中右=足場となる丸太が付けられている)の”差し茅”です。まず、屋根の一番上の”棟”が取り除かれました。千葉県では”上総や安房地方”で多く使用されるという、”棟”の両端の逆U字形の”マクラ”も外されました(写真:上左)。”茅屋根の軒先”を下から見上げると、”茅屋根”が1種類の”茅”で葺かれているのではないことがわかると思います(写真:上右)。今回は、この写真の一番上(表層)の”茅”を替えます(表層の茅を剥がしたところ(写真:上中))。古い表層の”茅”が取り除かれた屋根(写真:中左)に”茅”を並べ、一段が終わると「押し鉾竹(おしぼこたけ)」で押えて上に進みます。「押し鉾竹」で押えるためには、”縄”で”建物の竹組”と連結させなければなりませんが、それが写真下です。先端の穴に”縄”を通した”針のおばけ”のような竹棒を屋根の外側から差し込んで(写真:下左)、”ぶ厚い茅屋根”に”縄”を通し内側で竹組に絡ませ(写真:下中)、”縄”を再び茅屋根の外に戻し”茅”を屋根に押し付けるようにして「押し鉾竹」にしっかり結びます。屋根裏を見ると、今回改修した”新しい縄”がわかると思います(写真:下右)。この連続で、下から上に”茅”を葺き上げていきます。なお、”茅葺”には”縄”しか使いません。

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